2014.12.12 岐阜県公安委員会「理由説明書」(共通部分)


                                                                                                            平成26年12月12日

 

岐阜県個人情報保護審査会長 様


                                                               非開示決定理由説明書


 平成26年11月12日付け個情審第11号で依頼のあった標記の件について、下記のとおり説明する。

 

1 本件事案の表示 

 

 (略)

 

 

2 審査請求の趣旨


 本件処分を取り消し、開示を求めるものである。

 


3 諮問庁が貴会に対して求める答申の内容

 

 本件審査請求を容認しない旨の答申を求める。

 


4.本件各処分に至るまでの経緯

 

  (1) 本件情報の開示請求
 (略)

 

 (2) 処分庁の決定
   処分庁は、本件各開示請求の対象となる保有個人情報(以下、「本件各対象個人情報」という。)は、存在するとしても条例第14条第5号に該当し、かつ、その存否を答えるだけで非開示情報を開示することとなるため、条例第15条の2に街頭することを理由に本件各処分を行い、その旨を審査請求人に通知した。

 


5 理由説明


 (1) 本件各対象個人情報の性質
ア 4の(1)の①の保有個人情報
    4の(1)の①の開示請求に係る保有個人情報は、「2014.7.24付 朝日新聞で報道された岐阜県警内警察署と(株)シーテックとの「意見交換」「協議」に係る情報」とされている。
     審査請求人が引用する「2014.7.24付 朝日新聞」の報道内容を確認したところ、風力発電施設建設をめぐり、警察が特定の個人に関する情報を特定の企業に漏洩したとされる記事が掲載されていたことから、本件開示請求は、特定の企業に漏洩したとされる審査請求人の情報について求めたものであると判断できる。
     したがって、仮に当該請求に係る保有個人情報が存在するとすれば、当該請求に係る保有個人情報は、特定の個人に対する警察の情報収集活動に係る情報ということができ、このような保有個人情報は、当然のこととして、特定の個人が警察の警察の情報収集活動の対象とされているか否かに関する情報が含まれるほか、警察の情報収集活動の着眼点や手法等に関する情報が記載されていることとなる。
イ 4の(1)の②の保有個人情報
    4の(1)の②の開示請求に係る保有個人情報は、「大垣警察署が(株)シーテックに、私・近藤ゆり子の「評価」を伝えるにあたって、調査・分析の対象とした情報の一切」とされている。
     したがって、仮に当該請求に係る保有個人情報が存在するとすれば、当該請求に係る保有個人情報は、特定の個人に対する警察の情報収集活動に係る情報ということができ、このような保有個人情報は、当然のこととして、特定の個人が警察の警察の情報収集活動の対象とされているか否かに関する情報が含まれるほか、警察の情報収集活動の着眼点や手法等に関する情報が記載されていることとなる。

 

 (2)  条例第14条第5号該当性について
    条例第14条第5号は、「開示することにより、犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維持、刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると実施機関が認めることにつき相当の理由がある情報」を非開示情報として規定している。
    犯罪の予防、捜査等に関する情報については、その性質上、開示されれば公共の安全や秩序の維持に取り返しのつかない重大な支障を及ぼすおそれがあるため、最悪の事態を想定した慎重な取り扱いが求められることや、開示・非開示の判断に犯罪等に関する将来予測としての高度な専門的・技術的判断を要することなどの特殊性が認められるべきである。
   特定の個人が警察の警察の情報収集活動の対象とされているか否かは、警察の情報収集活動の対象(又は方針、関心事項)等に関する情報であり、これが明らかになることによって、犯罪の予防、鎮圧又は捜査等公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると実施機関が認めることにつき相当の理由がある情報と認められることから、条例第14条第5号に街頭すると判断したものである。


 (3)  条例第15条の2該当性について
    条例第15条の2は、「開示請求に対し、当該開示請求に係る個人情報が存在しているか否かを答えるだけで、非開示情報を開示することとなるときは、実施機関は、当該個人情報の存否を明らかにしないで、当該開示請求を拒むことができる。」と規定している。
   本件各開示請求のように、特定の個人に対する警察の情報収集活動に係る保有個人情報について開示請求がなされた場合には、当該保有個人情報の存否を答えるだけで、特定の個人が警察の警察の情報収集活動の対象とされているか否かという事実が判明し、警察の情報収集活動の対象(又は方針、関心事項)等が明らかとなるため、条例第14条第5号に規定する犯罪の予防、鎮圧又は捜査等公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがある情報を開示することとなる。
   したがつて、本件開示請求に対しては、条例第15条の2を適用し、非開示決定(存否応答拒否)を行つたものである。

 


6 審査請求人の主張について


(1)「条例第15条の2、第14条第5号の適用は失当である」の主張について
   審査請求人は、①あらゆる意味で「犯罪」とは無縁である、②「情報が存在する」ことは公知の事実となっている、③市民に対する理由なき監視・個人情報収集を秘匿する正当性はない旨主張している。
   しかしながら、前記5「理由説明」のとおり、本件各開示請求に対しては、条例第14条第5号及び同第15条の2の適用が妥当であり、審査請求人の主張は理由がない。

 

(2) その他の主張について
   7月24日付け朝日新間による報道等を踏まえ、岐阜県警察おいて本件について確認したところ、大垣警察署員が(株)シーテック担当者と会っていたことは確認されたが、これは、公共の安全と秩序の維持という責務を果たす上で、通常行っている警察業務の一環であると判断しており、審査請求人の主張は本件各処分の判断を左右するものとは認められない。

 


7  結論


   以上のことから、条例第15条の2の規定に基づいて行った本件各処分は妥当なものであると認められることから、諮問庁としては、本件各開示請求について原処分維持が適当と考える。